株式会社ティービーアイ民事・刑事事件のリーガルサポートをする調査の専門家

2023.07.28

古市憲寿氏講演から、未来に見えてくる事と調査(探偵)業の変化について

日本の人口は減る一方で、25年後の2048年には1億人を割り込み9,000万人にまで減少すると言われています。こういった未来を私たちはどうのように生きていけば良いのでしょう?
先日、京橋法人会、日本橋法人会、麹町法人会、東京商工会議所協賛で、社会学者の古市憲寿氏の講演があり、まさにその事について触れたものでした。
人口が減る事で、間違いなく起きる出来事は〝働き手〟人員不足です。日本は人件費が安く、物が良いという珍しい国であって、そのために未だ深刻な人員不足には陥っていません。古市氏は「それでも日本人はおかしな人種で、システム化しても、人力で何とかしようと訳のわからない事をしたりするのですよ。」と日本人を分析します。「コロナ過で海外から帰国した際、ワクチン接種をしたとか、その証明をアプリで入力してQアールコードをスマホに表示させますが、それが終わってゲートに行くと、何人かのおじさんに、そのQアールコードを見せると、〝行ってよし〟と言われる。ただ見せるだけ。それだったら、何のためのQアールコードなの?って事になっちゃう。ほんと、意味のない事をやっているなと思いました。」というエピソードから感じた事らしい。
欧米が日本よりもはるかにシステム化やAI化が進んでいているのは、日本と比べて人件費が高いからだと言います。そのために人件費をいかに削減するか?という事で、AIを取り入れたりしてシステム化が進んでいると言うのです。日本も人口が減れば人件費は高騰しますから、必然的にシステム化、AIへの移行という事は間違いのない未来ではないでしょうか。
古市氏は、「AIや新しい技術は高齢者には難しいと言いますが、戦後の高度成長期にこれまでにない新しい技術、テレビや冷蔵庫、エアコンといった物をいち早く使い始めたのは、いまの団塊の世代の人たちです。」と言います。確かに、現在のスマホやタブレットは現代の新しい技術であり、それは団塊の世代の人たちがこぞって使ったテレビや冷蔵庫であったわけです。便利で効率の良いものを使おうとするのは、いつの世代でも同じ事ではないでしょうか。
さらに古市氏は、「例えば電子マネーなんかは、高齢者や体の不自由な人にとっては、むしろとても便利で簡単なシステムです。」とも言います。
私たちがこれから迎える未来は、確実に高齢化社会で、2060年には4人に1人が75歳以上となると試算されているのです。政府が〝異次元の少子化対策〟などと言ってはいますが、中身の伴わない対策がこのまま進めば、間違いなく前述のような社会が待ち受けている事になります。
そのような中、果たして探偵業者はどのくらい残るのでしょう?調査員の高齢化はすでに始まっています。さらに、4人に1人が75歳以上の社会において、果たして探偵業者のメイン業務である〝浮気調査〟はどのくらい需要があるというのでしょうか。こういった未来を見すえて、調査会社や特に探偵業者というのは時代の変化に対応して調査内容や調査項目、これにともなった新しい技術を開発していかなければなりません。
探偵業の業務の適正化に関する法律は、探偵業に対して明確な定義つけをしています。果たして、この定義付けられた業務体系の中で、未来に探偵業は存続しているのでしょうか?将来、必ず探偵業の形は変化していくものと思われますし、変化しなくてはならない岐路に、いま立たされている事を、我々業者は気が付かなければならないと感じました。
また、調査(探偵)業界に関わらず、どのような業界でも同じ事が言えるのではないでしょうか?人口が減少する未来において企業が生き残るためには、こうした未来に何が起きるのかを想定して行動していかなければならないはずです。

高齢化の現状と将来像(内閣府:第1章 第1節 1 (2)将来推計人口でみる50年後の日本